Mail2Tor - レビュー
Tor@mail2tor.comメイルトゥトーアは、Tor ネットワーク内で運営しているOnion Services。通信元の秘匿を主眼に置いたフリーメールサービスで Tor からの利用しかできない。
Webメールの他に .onion ドメインの IMAP と SMTP の秘匿サーバが用意されており、メールクライアントから送受信ができる特典もあります。
通常の Tor での接続と異なり出口ノードからの接続ではないので、より秘匿性が高い。現在は最小の機能しか持ちませんが今後拡張される予定です。
メールソフトでの利用は環境を整える必要があり、少し知識と手間が必要ですが、Webメールは Tor ブラウザを実行するだけなので誰でも簡単に利用できます。
Tor Mail の終了後、いち早く公開されたため注目されましたが、他の Tor Email と比べて接続が途切れやすくサーバーダウンも多い印象を受けます。
CockmailやProton MailはOnion Servicesと通常の接続の選択ができ、もう少し柔軟に使用できます。その代わりクライアント用の秘匿サーバは用意されていないので、目的に応じて選択してもよいでしょう。
1 周回って Tor メールの中では最強か?!
EludeMail、secMail、TorBox は機能面で優れているところもありましたが、のちにアカウント取得や運用に煩わしい制限が課されました。それどころか、短期間に終了してしまった Tor メールも多く存在します。Mail2Tor は淡々と、しかし確実に運営を続けている点を評価されるべきでしょう。
良い点
- アカウント登録に際し必要な個人情報がない。
- 1文字のローカルネームの選択が可能。
- .onionドメインの IMAP と SMTP を使える。
(Thunderbird からの使い方)
悪い点
- 最小限の機能しか持たない。
- Tor を使える環境が必要。
- 時々サーバーダウン。
- 時々接続が途切れる。
- フィルターのプラグインの除外の為、自動振り分け、受信拒否の類いは全て不可。
- いくつかのメールサービスからブロックされる。
機能詳細
基本機能 | IMAP ,SMTP📩クライアントの設定方法 |
拡張機能 | 代理送信、署名、メール検索、テーマの変更。 |
追加の機能 | アドレス帳。 |
容量制限 | 添付ファイル 2 MB。 |
ドメイン | @mail2tor.com |
機能補足
Tor への接続にはTor Browserを利用するのが最も簡単です。匿名性を維持できるよう設計されています。インストール後、どちらかからアクセスします。
文字数の少ない旧 Version 2 の URL は廃止されました。
トップページにアクセスできなくても、メールサービスには接続可能なことも多いです。すでにアカウントを持っているなら、こちらからログイン可能です。
トーアブラウザはポータブルで動作するので、出先で Mail2Tor を使うことも可能です。
その他に、Advanced Onion Router やスマホ用のOnion Browser(iPhone, iPad) やOrfox(Android) から Tor ネットワークに接続できます。
Webメールはオープンソースでフリーウェアの SquirrelMail。更新が停止してから期間を置いて機能も少なめですが、JavaScript なしで安定した動作をします。ただ、英語以外の言語はCharsetの扱いを間違えて、送受信共よく文字化けが発生します。
文字化けした受信メールは、適当なテキストエディターからエンコードを指定すると読む事ができます。
SquirrelMail からの送信は、charset=iso-8859-1 固定。メールソフトを使うと Charset を指定できるので、日本語を扱うならSMTP 送信がおすすめです。
🧅 SquirrelMailのログインは、ドメイン名まで入力します。○○○@mail2tor.com
502 Bad Gatewayのエラーが時々発生します。ページを更新して改善しないなら再ログインします。
送信時の502 Bad Gatewayは、送信できていることが多いです。送信が完了していると Sent に保存されます。
メール送信時やページ移動時に動作しているのか分かりにくいことがあります。
Tor ブラウザ左上のナビゲーションで確認できます。読み込みが完了しておらず、ネットワークの読み込み中は❌の表示です。
📝 トーア ゲートウェイとクリアネット
Tor ゲートウェイとは、Tor でなければ接続できない Onion Services を Tor でなくても利用や閲覧ができる代替ページを指します。ウェブプロキシのように機能して Tor へ接続します。
Clearnet (クリアネット)という言葉は、Tor 以外の通常の Web を指します。Onion Services でないことを強調したり区別する時に使われます。
Mail2Tor の Clearnet のサーバーは、DDos 攻撃を受けたり然るべき機関に召し上げられて時々アクセスできなくなりますが、メール機能本体は Tor にあるので影響を受けません。
Mail2Tor の Gateway は、Google 検索にヒットして通常のブラウザからも閲覧できます。どのようなサイトなのか雰囲気を覗いてみるくらいは構いませんが、安全ではないので、Gateway からアカウントを作成したりメールにログインしないでください。
エイリアス
拡張アドレスの+と.は共に使用不可です。
info+tamanegi@mail2tor.com ≠ info@mail2tor.com
ex.ample@mail2tor.com ≠ example@mail2tor.com
通常のエイリアス アドレスもありませんが、次の代理送信より他のメールアドレスを使って無許可で送信できます。
代理送信
他のメールアドレスの代理送信は、少し分かりにくいので設定方法を解説します。
Options → Personal Information
真ん中やや上のEdit Advanced Identitiesをクリックします。
上下 2つIdentityの登録場所が見えます。
上段のDefault IdentityのE-Mail Addressへ本来の@mail2tor.comのメールアドレスを入力して、下段のSaveから保存します。 (これをやらないと元のアドレスで送信できなくなってしまう)
Add a New Identity へ代理したいメールアドレスを入力して同じくSaveするとAlternate Identity 1として登録されます。認証もないので、全くの思いつきのメールアドレスを設定する事も可能です。
図では@mail2tor.comを追加していますが、@gmail.com などでも O.K です。
Compose から新規作成するときに、From のメールアドレスを選択変更できます。
メールアドレスはいくつでも追加できます。
追加したメールアドレスは送信専用です。実際には持っていないので受信はできません。
エイリアスで送信してもログインアドレスは判明しません。(2019年6月18日 確認)
ただし、一時期、ヘッダの Received: にログインメールアドレスが送信されていたことがあります。万全を期すなら事前確認が必要です。
送信制限の厳しい、VFEmail や広告が付くフリーメールの代わりに送信することもできます。
アカウントの新規作成
Tor Browser で 🧅 アカウント作成ページを開きます。
必要事項を入力します。
Usernameに英数字のアカウント名を決めます。(1文字~)
Password を決めて、Confirm Password に同じ文字列を入力。
Enter Captcha へ画像の文字列を入力します。大文字小文字注意。矢印のアイコンから画像を変更できます。
すべて入力したら送信をクリック。
アカウントの作成に成功すると、User createdと表示されます。
ユーザー名がすでに使われていたり、画像認証が間違っているとエラーが表示されます。
もう一度もどってチャレンジします。
今すぐログイン可とありますが、新規取得した直後にログインしようとするとERROR: Connection dropped by IMAP server.と表示されます。
アカウント作成後24 時間おくとログインできるようになります。
記載はありませんが制限が掛かっています。 (記: 2018年5月16日)
ユーザー名が空いているのか、画像の文字が正しいのかは送信をクリックするまでわかりません。これにより、Mail2Tor は、アカウントの乱獲を防いでいます。
ユーザー名は1文字から取得できます。長い文字列なら無難ですが、短いメールアドレスを狙ってみるのも面白いでしょう。
アカウントのキャンセル
アカウントの削除は、SquirrelMail にログインする前の Mail2Tor の HP よりできます。上段右のDeactivateメニューからパスワードを入力、画像認証後、送信で削除されます。
🧅 Mail2Tor アカウントの削除